六畳間の独りごと

旧街道フェチ

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時代の変化の先に最適化されていくものの代表ってのは所謂「インフラ」って奴だと思うのだけれども、これまでわざわざ峠を迂回して遠回りしなければならなかった道が、いつのまにかバイパスが通って快適なアクセスができるようになったり、高速道路の発展で往来がスムーズになったなんてことを経験したこと数知れず。

もちろん多くの場合で有効に活用させてもらってはいるものの、その時代の変化に置き去りにされた昔の道。「旧街道」という奴がたまらなく好きだ。

歴史とか詳しいわけじゃないし、過去その道がどんな感じだったのかなんてわからない、覚えてないことの方が多いのだけれども、すっかり交通量の減った一本道。潰れたお土産屋、特定の果物だけを売っていた、小さな小さな露店。

もはや知ってる人しか通らなくなってしまったその道から感じられる寂しさというか、侘しさというか、昔の名残の欠片が亡霊のように残ったその道を車で走ると、なんだか心が締め付けられるような気分になる。

昔はきっと活気のある通りだったに違いないだろう。すっかり寂してしまったが、この繁栄はずっと続くと信じられていたはずのサビついた大きな看板、今ではほとんど見られない旧書体のポスター。ひび割れかけて、修繕すら後回しにされているアスファルト。

何もかもが、ある時代の繁栄を思わせてくれる。

ついでに言えば、旧街道道すがら、山手の方に見える採石場なんかも心をくすぐるポイントだ。採石場から伺える「他の山には木々があるのに、そこだけ切り取られた違和感」の凄さは非常に心を締め付けて良い。

今でもヒーロー戦隊ものでのバトルフィールドとして採石場が使われていたりするとキュンキュンくるし、古き良き時代のミステリーでありがちな、採石場での事件みたいなものも、これだよ! これ! 感で胸がいっぱいになる。

が、まだ人生で一度も採石場というものに足を踏み入れたことがないので、機会があればじっくりと現場を伺いたいものだと思う。

何だかよくわからんけれども、ともかく、自分は「本来自然にあったはずのもの」が欠落してしまっている状態というものが好きであるらしい。

好き…と言っても、今栄えてる道がいつしか旧街道と呼ばれるものになる未来を想像して楽しいかと言われれば違うし、木々が伐採されて禿山となっていく様何てものは心が痛いだけで好ましくも何ともない。多分、現在進行形で進んでいるものについては除外されるようで、自分の知らない時間の中でいつの間にか切り取られてしまった状態である という条件を満たしていなければならないみたいな、何自分こんな分析してんだって話なのだけれども、おそらく幼い頃からドラゴンクエストにおいて、一番好きな街はと聞かれたら「ドムドーラ」と答えていたので、まぁそういうことなんだろうと思う。

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